いい演奏とひと口で言っても、このいいという表現も何に対しているのかで変わってきます。
演奏者自身の感覚として最高の演奏したと思っても、聴衆からは指示を得られない場合もあります。
では、聴衆から見ていい演奏とはどういった演奏でしょうか?
それは、感情をこめて演奏している音楽になります。
演奏にとって基本的なことはミスをしないことですが、それだけを念頭に置いてしまうと心に響かせる音楽にすることが難しいです。
コンサートはレコーディングと違い一発勝負の世界です。
聴衆に自分が感動したイメージを伝えていくことは、毎日の練習の中で試行錯誤をしていかなければいけません。
演奏するにあたってのコツは3つです。慣れ・集中・テクニックです。
順番も決まっていて、慣れ→集中→テクニックの順になります。
まず、スポーツでも言えることですが、慣れていることがもっとも重要になります。
何度も練習を重ねて、まずはその曲を自分のものにしましょう。
次に演奏に対して集中することです。
集中していないと小手先の演奏になってしまう可能性が高いです。
緊張しないように、演奏している自分自身の事を客観視するようにしましょう。
第三者としての視点で、自分自身の事を見ることが大切です。
そして最後にテクニックです。
不思議なことに、楽器は同じものを使っても、人によって奏でる音色が変わってきます。無機質な演奏にならないように感情を込めて演奏するにはテクニックが必要です。
では、このテクニックを大きく分解すると、音の出し方・スピード・強弱に分かれます。
いい音の出し方は、まず良い演奏を何度も聴いて参考にすることが大切です。
いい演奏家の演奏を聞いてどの様にして音を出しているのか見ることが不可欠です。
次に姿勢が大切です。
姿勢が悪い状態では、良い音を出すことが出来ません。
特にフルートなどの息を使って音を出す楽器の場合には、姿勢の良し悪しによって音色自体が変わってきます。
更に吹奏楽などの場合、腹式呼吸をマスターすることも大切になります。
吹奏楽の場合、腹式呼吸をする事が出来るようになると、いい音を出すことが出来るようになります。
また緊張しても、腹式呼吸をマスターすると息切れをしてしまうことが少なくなります。
スピードはとても重要な要素です。
鍵盤楽器しても弦楽器しても楽器の種類に関わらず共通しているのは、演奏のスピードが楽曲全体の印象に影響を与えるという事です。
例えば、音楽CDと変わらないスピードで演奏すると、音楽CDを使用して耳にしている時に得られる感動と同じであるため、生演奏ならではの感動が薄くなります。
メリハリ感とリズミカルな間合いが失われた演奏は、心地良く感じられません。
そこで、まずはしっかりとその楽曲の速度記号を確認し繰り返し基本のスピードをマスターします。
そののちに、しっとりと静寂を与えて、そして畳み掛けるようなテンポで演奏することを心がけましょう。
一部分を遅くした後は、他の箇所をスピードをあげて演奏して、曲全体の均一性が取れるようにすることも大切です。
また、その中で時には、ためも作ります。このためを作るのはとても難しいことですが、慣れてくるとどの部分にためを作ると、その曲を生かすことができるか分ってきます。
音の強弱は、音の感情と言っても過言有りません。
ただ演奏するだけなら、機械の自動演奏になってしまいます。
楽譜の、強弱記号を習得すれば、メインとなる部分がどこかが一目瞭然になります。
そのメインの部分を大きく聞かせるためには、小さな音をちゃんと小さく演奏することがコツになります。音の感じ方というのは人それぞれであり、強く演奏しても悲しい曲とイコールにはなりません。
激しい音であっても悲しい調べはあります。不協和音にあえてアクセントをつけて演奏することもテクニックの一つとも言えます。
そして演奏を録音して、客観的に何度と自分の演奏で聞いてみることです。
音に人間ならではの表情つけるには、メリハリを付けて演奏することの大切さがわかるはずです。
昨今、スポーツでも演奏でもイメージトレーニングがよくとりただされています。
演奏前に、演奏している様子を思い描くイメージトレーニングをしたら、神経細胞の働きが良くなったという実験があります。
そしてイメージトレーニングのコツは、明確なビジョンを持つことが大切です。
「この小節をこのように演奏しよう・・・」と。
最後に上質の睡眠をとることも大変に大切です。
人間の脳は寝ている間も機能しています。
脳の情報がきれいに整頓できれば、どういうふうに演奏すればいいのかという答えがでます。
睡眠時間を削ってでも練習したいと思いがちですが、効率を考えれば逆効果になります。